翻訳:貴州大学日本語翻訳修士コース・日本言語文学修士コース2020年生
修正:須崎 孝子
指導:王 暁梅
監修:姚 武強
補筆・再構成:大橋 直人
2020年11月17日から19日にかけて、「2020国際山地観光連盟年次総会」が貴陽市で開催された。連盟の集積効果を最大限に発揮し、貴州省との交流を一層深めることを目的として、17日午後には、貴州省人民政府と国際山地観光連盟の共催による「貴州山岳観光の高品質発展を推進する企業家座談会」が開かれた。
本座談会には、観光業界の著名な専門家である魏小安氏、世茂グループ副総裁の唐鳴氏、華僑城旅遊投資管理グループ総裁の張樹民氏、十二背後旅遊グループ董事長の陳進氏など、全国各地から招かれた企業経営者や関連機関の代表30余名が参加した。国際山地観光連盟執行秘書長の傅迎春氏が司会を務め、「貴州省の山岳観光の高品質発展をいかに支援し、新たな発展モデルを探求し、未来への新たな道を切り拓くか」をテーマに意見交換が行われた。
座談会では、貴州省文化・観光庁の張玉広庁長が登壇し、貴州の山岳観光の魅力を紹介した。貴州省は豊富な山岳観光資源に恵まれ、華南と華中を結ぶ要衝として優れた気候条件や良好な生態環境を有し、豊かな人文的景観が息づいている。独自の山地文化は、祭礼や風俗、建築様式、生活習慣など、山水と共に暮らす人々の営みに色濃く刻まれている。
張庁長はさらに、新たな歴史的局面を迎える中で、貴州省は「文化+観光」という新しい発展モデルの構築に力を注ぎ、山岳観光の高品質な発展を加速させていく方針を示した。その一環として、心身の健康増進に資する観光、山岳探検、山岳スポーツなど、多様な旅行形態の育成に注力していくと述べた。
景勝地資源に恵まれた貴州省は、古くから「公園の省」と称されてきた。神秘的で優美な自然景観、多様な山水の風光に加え、素朴で歴史を感じさせる民族文化が調和し、さらに豊かな革命文化資源も備わっている。これらの条件は、観光産業の発展にとってきわめて有利である。
貴州省文化・観光庁の党組織書記兼庁長である張玉広氏は座談会において、「2020年10月、貴州省全体の観光客受入数は延べ8609万6200人に達し、観光収入は831億3400万元(約1兆3000億円)となった。これは前年同期比でそれぞれ90.6%、80.5%まで回復した数字である」と報告した。
「天下の名山の半ばは貴州にあり」と孟郊が詠んだように、貴州は山によって知られ、山によって壮麗となり、山によってその貴重さと独自の気風を育んできた。千百年にわたり、貴州の各民族の祖先は山を拠り所にし、水を求めて住まいを築き、豊かな歴史と文化、そして数多くの無形文化遺産を残してきた。今日でも山に囲まれた環境に暮らす人々の言語、歌舞、祭礼や習俗、衣装、建築様式に至るまで、山岳文化の影響が色濃く息づいている。
近年、貴州省は市場化・法治化・国際化を柱としたビジネス環境の整備に注力してきた。「外商投資サービス・保障条例」の制定や企業取引コスト削減に関する政策を先駆的に導入した結果、同省は行政認可事項の数が全国で最も少ない省の一つとなった。さらに、省政府のオンライン行政サービスに関する評価は全国の先頭に立ち、生産要素コストにおいても明確な優位性を示している。
加えて、常住人口3600万人(一人当たりGDPは6000ドル超)に支えられた消費力と、年間延べ数億人に及ぶ観光客の来訪により、貴州省には巨大な消費マーケットが形成されている。
張玉広氏によれば、国内大循環を基盤とし、国内外の双循環が相互に促進し合う新たな発展モデルのもとで、貴州省は「文化+観光」の融合発展を推進している。文化・観光産業における新たな業態を豊かに育み、多様な観光シーンを創出することで、国内における新しい消費をリードし、質の高い成長エンジンとしての地位を確立することを目指す。その過程で、「山地公園省・多彩貴州風」というブランドイメージを高め、世界一流の山岳観光地、国内屈指の健康・養生型リゾートの実現に向け、景観・文化・品質の三位一体による観光発展を図っている。
観光産業の発展にあたり、今後は中高水準の多目的観光商品の提供を拡充する。具体的には、気候や温泉、そして本場の漢方薬といった優位性を活かし、避暑観光、森林休養、温泉養生、医療・療養などの養生型観光を推進する。また、峡谷・湖沼・険峻な山岳といった地形的特長を活かし、探検ラフティング、クロスカントリー登山、低空飛行、スキーやグラススキー、マウンテンレースなど、スポーツ観光商品の育成を加速させる。さらに、軍民融合や製造拠点、交通要衝といった優位性を発揮し、山岳観光用品やアウトドア器材、特色ある観光製品の発展を促進し、「山岳アウトドアスポーツの省」としての地位を確立することを目指す。
同時に、全域観光を支える高速交通網の整備を進め、トレイル、ロープウェイ、観光エレベーターなど観光地の交通インフラを改良・向上させる。さらに、「トイレ革命」の着実な推進や、駐車場・道路標識・ホテル・ビジターセンター・通信ネットワークといった関連施設の拡充を進め、山岳救援システムを完備することで、安全・快適・利便性の高い観光体験の実現に全力を注いでいる。
観光サービス全体においては、ビッグデータの活用を積極的に推し進めている。「一つのQRコードで全貴州を観光できる」スマートプラットフォームの整備により、観光客は「食・宿泊・交通・観光・買い物・娯楽」といった包括的なサービスをワンストップで享受できる。また、観光都市としての新インフラ整備を進め、主要観光地での5G全面カバーを推進中である。さらに、スマート観光地、スマート旅行社、スマート民泊の整備を進め、ビッグデータを活かした観光ブランドやモデルプロジェクトを創出し、観光業の全面的な回復と質の高い発展を目指している。
加えて、「文明を実践し、人を魅了する貴州を築く」という理念のもと、「交通の利便、安心の衣食住、快適な遊び、満足の買い物、気楽な旅行」という観光文化を推進している。顧客第一の姿勢で誠実なサービスを徹底し、高水準の旅行経営・管理人材やマーケティング人材の育成・導入を進めることで、観光市場の担い手を拡大し、多様化する旅行者のニーズに応えている。さらに、市場監督を強化し、強引な販売や不当な勧誘などの行為に対しては「ゼロ容認」の態度を堅持し、観光客の満足度とリピート率向上を図っている。
最後に張玉広氏は次のように述べた。
「現在、貴州の観光事業は前例のない発展の好機を迎え、活力に満ちています。まさに今こそ、投資家の皆さまにとって貴州へ注目いただく絶好の時期です。この好機を生かし、ぜひ貴州を訪れ、投資や事業展開を進めていただきたい。皆さまの資金・技術・経営力と、貴州の生態・気候・地理的優位性が融合すれば、新時代にふさわしい高品質な発展を実現し、その恩恵を共に享受できるでしょう。」