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貴州の空港

2020-05-24

翻訳:楊 丹

修正:須崎 孝子

監修:姚 武強

補筆・再構成:大橋 直人





貴陽市の空港といえば、多くの人がまず思い浮かべるのは龍洞堡国際空港であろう。しかし実際には、民国21年(1932年)から現在に至るまでの87年間に、貴陽市には団坡、玉工場堤、平遠哨、磊庄、龍洞堡の五つの空港が次々と建設されてきた。


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1932年、貴陽市に初めての空港である団坡空港が建設された。もともと団坡運動場を臨時に改造したもので、滑走路は長さ約600メートル、幅約500メートルであった。団坡空港の開設は、貴州省の民間航空発展の歴史に新たな一歩を刻むものであり、貴陽における最初の空港となった。


翌1933年、湖南省や広西省からの航空機が相次いで貴陽に飛来し、貴州航路が開かれた。しかし、団坡空港には十分な駐機スペースがなく、発展の余地が限られていることが明らかとなった。このため、当時空軍の整備を推進していた王家烈(桐梓県出身、中華民国期の貴州軍閥、国民革命軍第25軍長兼貴州省主席)は、新たな空港の建設地として玉工場の堤を選定した。


玉工場堤空港は、現在の貴陽駅付近に位置し、東は新しい交差点から、南は望城坂に近接し、西は南工場兵営(現・貴州省軍区)に面し、北は南明河に迫る一帯に広がっていた。その面積は約1平方キロメートルに及ぶ。


その後、約80にわたる歴史の変遷を経て、旧空港跡地の一部には貴陽駅や貴州省新スタジアムが建設され、地域の地名も「玉工場堤」から「飛行機堤」へと改められた。今日、玉工場堤の名は、貴陽市民の記憶の中にのみ残されている。


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1933年末から1934年初頭にかけて、広東・広西方面では航空会社の設立が進められ、西南地域における航空輸送業務の展開が計画されていた。その路線は桂林、南寧、貴陽、昆明を結ぶ民間航空路の開拓を目指すものであり、当時の王家烈もこの計画を積極的に支持した。


しかし、玉工場堤空港は大型輸送機の離着陸に対応できなかったため、王家烈は自ら関係者を率い、貴陽周辺の各地を車で巡り、実地調査を行った。まず北郊の「砂の見張り所」を視察したが、そこは田畑が広がり、川黔道路に近く交通の便も良いことから、空港建設に適した条件を備えていた。しかし肥沃な農地が多いため、地元住民の強い反対に遭い、計画は断念された。


その後、調査は清鎮方面に移り、貴陽から約24キロ離れた平遠哨に注目した。ここは丘陵と荒地が多く、耕地も限られており、荒涼とした地形であったため空港建設に適していると判断された。空港の建設は地域の発展を促すと期待され、貴州省政府は清鎮県と平堤県に命じて大量の民夫を動員し工事を進めた。


193411月、平遠哨空港が完成した。主滑走路は長さ1000メートル、幅50メートルで、敷地面積は約3平方キロメートルに及んだ。双発機の離着陸1ン以上の大型機の運航が可能であり、航法・通信設備も団坡空港や玉工場堤空港に比べて格段に充実していた。その後、時代の推移とともに平遠哨空港は役割を変え、現在では「貴州省清鎮体育局訓練基地」として改称され、地域のスポーツ事業の発展に大きく寄与している。


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1958年、国務院の許可を得て、花渓区磊庄に新たな空港が建設されることとなった。同年10月に着工し、総投資額は119万2000元、敷地面積は1452ムーに及んだ。滑走路は長さ2000メートル、幅50メートルで、翌1959年4月に竣工し、5月1日には磊庄空港が正式に完成した。その日、新設された空港では最初のIL-14型旅客機による試験飛行が成功裏に行われた。


19604月、国務院総理・周恩来は東南アジア諸国への友好訪問を終えて帰国する際、昆明を経由して貴陽に到着し、磊庄空港に降り立った。そこで貴陽市民とともに「メーデー(国際労働節)」を祝ったことは、空港の歴史に刻まれる象徴的な出来事となった。


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磊庄空港は拡張が困難であったため、新空港の建設候補地を探すことが最優先課題となった。調査チームは貴陽市を中心に半径50キロ圏内から地図上で9か所を候補地として選定し、比較検討を重ねた結果、龍洞堡、恵水、薩佐、老陽関、土城、川心堡、羊昌、清鎮空港、貴州などを踏査対象とした。詳細な調査と検討の結果、貴陽東郊に位置し、南明区・烏当区・花渓区の境界に接する龍洞堡地区が最適地と判断された。


龍洞堡空港の建設は1994年に始まり、敷地面積は5647.41ムーに及ぶ。設計は「国内幹線4D級空港」の基準に基づいて行われたが、工事は難航を極めた。1997年5月28日、ついに龍洞堡空港は正式に開港し、当初は63本の国内・国際航路を持ち、国内外45都市と結ばれていた。


2005年12月、国家民航総局の承認を受け「貴陽龍洞堡国際空港」と名称を改め、2008年7月には中国民航局の認可により4D級から4E級国際空港へと昇格した。さらに2013年3月には第2期拡張工事が完了し、T2ターミナルが稼働を開始した。


現在、同空港の主滑走路は長さ3200メートル、幅60メートルで、平行滑走路1本、快速離脱誘導路3本、垂直連絡誘導路3本を備える。駐機スポットは47か所あり、そのうち近距離用が28か所を占める。ターミナルビルの面積は21万平方メートル、貨物ターミナルは2.1万平方メートル、駐車場は10.5万平方メートルに及ぶ。


2015には総投資額196.59元を投じた第3期拡張工事が正式に始動し、ボーイング747やエアバスA340を含む大型機材の離着陸に対応可能となった。


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双龍空港経済区の計画図と現在の運用状況によれば、貴陽龍洞堡国際空港の整備は全体で第4期まで構想されている。将来的にはT4ターミナルの建設が計画されており、都市・貴陽にさらなる活力をもたらすと期待されている。


近年、貴州の民航産業は急速かつ持続的な成長を遂げており、その中心を担う龍洞堡国際空港は、2018年に旅客取扱量2000万人を突破し、歴史的な飛躍を果たした。


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社会経済の継続的な発展に伴い、交通条件は大きく改善され、鉄道・道路・水運の路線網も拡充されてきた。これにより、人々の移動はますます便利になり、空港の利用率も年々高まっている。現在、貴州省には11の空港が開港しており、さらに6つの空港が建設中である。


2017年8月29日、中国民用航空局が発表した「貴州省通用空港レイアウト計画」では、2030年までに全省で17の輸送空港(ハブ空港1か所、支線空港16か所)を整備する方針が示された。省内のハブ空港は貴陽龍洞堡国際空港であり、すでに建設された10の支線空港は、銅仁鳳凰空港、黎平空港、興義万峰林空港、遵義新舟空港、安順黄果樹空港、六盤水月照空港、畢節飛雄空港、荔波空港、凱里黄平空港、遵義茅台空港である。


また、国家の認可を受け、現在建設中の支線空港には、威寧空港、徳江空港、羅甸空港、都勻空港、盤州市(旧盤県)空港、天柱空港の6か所が含まれている。


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貴陽龍洞堡国際空港(Guiyang Longdongbao International Airport)


貴陽龍洞堡国際空港(IATA:KWE、ICAO:ZUGY)は、4E級国際空港に区分される。滑走路は長さ3,200メートル、幅45メートルを有し、3本の高速脱出誘導路と2本の端末誘導路を備えることで、エアバスA380を除くすべての機種の最大離着陸重量に対応可能である。また、先進的な航法システムや空港設備を整え、南西中国における重要な航空拠点のひとつとなっている。


通称「貴陽空港」と呼ばれる同空港は、貴州省貴陽市の東郊外に位置し、標高1,139メートル、都心から約11キロメートルの距離にある。1997年5月28日に正式開港し、2006年1月19日には「貴陽龍洞堡国際空港」へと改称、中国西南地区で4番目の国際空港となった。さらに2007年末には、飛行区の等級を4D級から4E級へ格上げしている。


近年、利用者数は急速に増加しており、20181229日には年間旅客取扱量が初めて2,000人を突破。中国大陸において、年間旅客2,000万人超を達成した21番目の空港としてその地位を確立した。


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銅仁鳳凰空港Tongren Fenghuang Airport)


4D級空港(IATA: TEN、ICAO: ZTR)。滑走路の長さは2600メートル。貴州省・湖南省・重慶市の境界に位置し、敷地の約半分は湖南省鳳凰県内にある。銅仁市中心部から約21キロ、鳳凰県から30キロ、湘西土家族苗族自治州の州都・吉首市からは85キロの距離にある。


1958年に設立され、1972年に初めて就航したが、1982に一時閉鎖。その後、2001年に再開された。20091028日には名称を「銅仁大興空港」から「銅仁鳳凰空港」へ変更。さらに201711月には国際空港として認可され、貴州省で第三の国際空港となった。


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興義万峰林空港(Xingyi Wanfenglin Airport)


4C級空港(IATA: ACX、ICAO: ZUYI)。滑走路は長さ2300メートル、幅45メートルで、B737-300型機までの離着陸や駐機が可能。興義市中心部から約5キロに位置する。清らかな山水と奇峰群を背景に、「貴州西南の第一景」と称される景勝地の玄関口となっている。


2004718に開港し、首都空港グループに所属する。2008には旅客取扱量が100人を突破し、中国国内で第90位を記録。2019年には138.4万人に達した。


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安順黄果樹空港(Anshun Huangguoshu Airport)


4C級空港(IATA: AVA、ICAO: ZAS)。滑走路は長さ2800メートル、幅50メートルで、B737クラスの機材が運航可能。安順市経済技術開発区・宋旗鎮に所在する。


20049月に開港し、2019年の旅客取扱量は36万人に達した。もとは「安順空港」と呼ばれ、1960年代の「三線建設」期に建設された。もともとは貴州航空工業集団傘下の双陽航空機製造所の試験飛行場および双陽通用航空作業基地として使用されていた。空港は黄果樹大瀑布や竜宮といった名勝に近接しており、貴州西部の黄金観光ルートの重要な拠点となっている。


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黎平空港(Liping Airport)


4C級空港(IATA: HZH、ICAO: ZUMP)。滑走路は長さ2200メートル、幅45メートルで、B737クラスの機材に対応可能。貴州省東南部、黎平県高屯街道八舟コミュニティに位置し、湖南省および広西壮族自治区に接している。


2005116日に試験運航を開始し、2006926日に正式開業。これは銅仁、興義、安順に次いで貴州省で4目に開港した民間支線空港である。


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黔南州荔波空港(Libo Airport)


黔南州荔波空港(ICAO:ZULB、IATA:LLB)は、4C級空港に区分される。滑走路は全長2,300メートル、幅45メートルで、ボーイング737型機の離着陸が可能である。貴州省黔南プイ族ミャオ族自治州南端の荔波県に位置し、同県の高速道路から約13キロ離れている。2003年8月に建設が始まり、2007年11月7日に開港した。観光支線空港として位置づけられ、飛行区の設計機材は主に50~70席級の支線機である。

「中国南方カルスト」の世界自然遺産登録を契機に国際的な知名度が高まり、荔波空港の就航により、省内外の観光客にとって荔波観光への快適かつ迅速な空の玄関口が開かれた。


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遵義新舟空港(Zunyi Xinzhou Airport)


遵義新舟空港(ICAO:ZAY、IATA:ZYI)は4C級空港で、滑走路の延長は2,800メートル。貴州省遵義市紅花崗区新舟鎮にあり、市中心部の東方約35キロに位置する。貴州省で第二の空港にあたり、最大規模の支線空港でもある。前身は空軍遵義空港で、2012年8月28日に民間空港として開港した。

2018には旅客取扱量が203.35万人に達し、省内の支線空港として初めて中型空港の水準に加わった。


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畢節飛雄空港(Bijie Feixiong Airport)


畢節飛雄空港(IATABFJICAOZUBJ)は4C級空港で、滑走路は全長2,600メートル、幅45メートルを有する。貴州省畢節市大方県響水郷飛雄村に位置し、市中心部から約18キロにある。201156日に着工され、2013616日に開港した。2019年の旅客取扱量は121.71万人である。


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凱里黄平空港(Kaili Huangping Airport)


凱里黄平空港(ICAOZUKJIATAKJH)は4C級空港で、滑走路は全長2,600メートル、幅45メートル。貴州省黔東南ミャオ族トン族自治州黄平県に位置し、黄平県中心部から北東12キロ、凱里市から54キロにある。貴州東南部の住民および観光業を主な利用対象とする観光支線空港である。201228日に建設が始まり、2013102日に開港した。


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六盤水月照空港(Liupanshui Yuezhao Airport)


六盤水月照空港(IATALPFICAOZUPS)は4C級空港で、滑走路の延長は2,800ートル。貴州省六盤水市鐘山区月照郷ダム村と水城県董地郷大窯村の境界に位置し、市街地から約10.5キロにある。20093月に国務院と中央軍事委員会の承認を得て建設が決定され、20122月に着工、20141128日に開港した。2019年の旅客取扱量は32.36人である。


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遵義茅台空港(Zunyi Maotai Airport)


遵義茅台空港(IATAWMTICAOZUMT)は4C級空港で、滑走路の長さは2,600メートル。貴州省遵義市仁懐市茅台鎮尭壩村と高坪鎮銀水村の境界に位置し、仁懐市中心部から16キロ、遵義市中心部から54ロにある。20153に建設が始まり、20171031日に開港した。2018年の旅客取扱量は1005千人に達している。