翻訳:郭 沢雄
修正:宮澤 詩帆
指導:王 暁梅、楊 梅竹
監修:姚 武強
補筆・再構成:大橋 直人
六枝特区は「中国の涼都」と称される貴州省六盤水市の東の玄関口に位置し、長江水系と珠江水系の分水嶺にあたる地域である。区内には40本を超える河川が流れ、豊かな水系環境を形成している。主要な農作物は稲・トウモロコシ・小麦・イモ類・菜種などで、農業が地域経済の基盤を成している。
2012年の統計によれば、区内にはイ族・ペー族・タイ族・チワン族・ミャオ族・回族・リス族・ラフ族・ワ族・ナシ族・ヤオ族・チベット族・チンポー族・プーラン族・プイ族・アチャン族・ハニ族・シボ族・プミ族・モンゴル族・ヌー族・チノー族・トーアン族・スイ族・満族・トールン族など、多様な少数民族が分布している。少数民族人口は総人口の約30.5%を占め、きわめて多民族的な様相を呈している。
六枝特区は、古代の夜郎文化を内包しつつ、民族文化の風情と自然景観を併せ持つ独自の観光地として知られている。区の中央部には桃花公園、九頭山公園、南極山公園、さらに天然の鍾乳洞である月宮洞(観音洞)がある。南部には郎岱古城、郎岱木城碑文、郎岱暴動烈士の墓、そして神秘的な老王山(古郎山)が位置する。東南部には底渓森林公園や白水河の瀑布群、落別を中心とした鍾乳洞群があり、北部には古い岩脚鎮、老高橋、懶龍橋(窓子洞)、老卜底といった歴史的・自然的景観が点在している。
また、プイ族の「趕表」、ミャオ族の「晒月」、イ族の「趕山節」、コーラオ族の「吃新年」など、多様な民族祭礼が今も受け継がれており、その神秘性と祝祭性が六枝特区独自の観光魅力を形成している。こうした文化的背景は、多くの国内外の観光客を惹きつけると同時に、民族学や文化人類学の研究者にとっても重要なフィールドとなっている。