盤県大洞遺跡は、盤県の南東約49km、珠東郷十里坪村に位置している。洞窟入口は幅55m、高さ約40mに及び、内部に入るとすぐに広大なホールが広がっている。その広間は長さ約220m、幅約30mを測り、この壮大な規模にちなんで「大洞」と名付けられた。
1990年の調査では、10点余りの石製品とともに、東方ステゴドン、中国サイ、大型バクなど、複数種の絶滅哺乳類の化石が出土した。さらに1993年の発掘では、およそ2,000点の石器、約1万点に及ぶ動物化石、加えて人類の歯の化石4本が発見され、この成果は「中国十大考古発見」に選ばれ、首位を占めるに至った。
これらの発見は、中国における洞窟旧人類遺跡研究において画期的な成果と評価されている。特に旧人類初期の遺跡としては、規模において世界的にも類例が少ないとされる。堆積物の年代や出土品の量・種類においては北京周口店遺跡に匹敵し、1996年には中国国家級重要文化財に指定された。
補筆・再構成:大橋 直人