観音洞遺跡は、黔西から約30km離れた沙井郷錦山村に所在し、標高はおよそ1450mに位置します。遺跡は主洞・南洞・北洞の三つの洞窟から構成されています。
ここから出土した遺物は中国の古人類学者による鑑定の結果、中国旧石器時代初期に属するものであることが判明しました。これにより、今から約50~60万年前にはすでにこの地で旧人類が活動していたことが明らかとなりました。観音洞の規模は、長さ約90m、幅2〜4m、堆積層の厚さは9mに及びます。
これまでに3000点を超える石器が出土しており、それらの原料や製作技法には地域的特色が色濃く反映されています。これらの成果は、旧石器時代における文化発展の様相を示す上で重要な資料となっています。さらに、初期人類の狩猟活動と深く関連すると考えられるステゴドンやサイをはじめとする20種類以上の大型哺乳動物の化石も発見されました。
観音洞遺跡は1964年に初めて確認され、2001年には中国の重要文化財に指定されました。
補筆・再構成:大橋 直人