畢節市

赫章可楽漢墓群

2018-06-04

赫章可楽古墳群は、赫章県の西方約74kmに位置する可楽鎮にあり、1958年に貴州省博物館の調査によって発見されました。可楽遺跡・柳家溝遺跡・大山煉銅遺跡の三遺跡と、15か所の古墳群から構成され、推定で一万基に及ぶ墓が確認されています。現在までに発掘されたのは全体のわずか4%に過ぎませんが、規模の大きさにおいて貴州省最大級を誇り、出土遺物の数においても随一とされています。これらの遺跡は、春秋戦国時代から漢代にかけての貴州地域の文化を良好に伝えるものです。


可楽は夜郎国が最盛期を迎えた頃の政治的中心地であったと考えられています。調査の過程で明らかになった葬送習俗の一つに、死者の頭部に銅製の釜を覆う「套頭葬」と呼ばれる独特の葬法があります。これは夜郎民族に固有の習俗であり、中国国内の他地域では類例が確認されていません。このことからも、可楽遺跡は夜郎国の葬礼・宗教・文化を解明するうえで極めて重要な手がかりを提供しています。


2001年には中国の重要文化財に指定され、2004年には「中国十大考古発見」の一つに選出されました。考古学界からは「夜郎青銅器文化の殷墟」とも評されており、その学術的価値は極めて高いものと評価されています。




補筆・再構成:大橋 直人