隆里古城は、錦屏県の南約45kmに位置する盆地の中央部に広がり、総面積はおよそ7万㎡に及びます。城郭の中心部はおおむね正方形で、東西約2kmの規模をもち、平坦な地形の傍らを龍渓河が流れています。城内には現在も約760戸の住宅が残り、約3200人が生活を営んでいます。
隆里古城は、およそ600年前、明代に「調北征南」「屯田戍辺」の軍事拠点として築かれたもので、明・清時代の民居が良好に保存されていることから、1999年には生態博物館に指定されました。城内には三本の主要な通りと六つの胡同(路地)、九つの庭園が設けられ、大通りや小路を含めるとその数は約20に及びます。これらの路面はすべて玉石で敷き詰められており、雨に濡れて光を反射する様は、独特の風情を醸し出します。
また、隆里古城の住民の祖先の多くは安徽省や江西省から移住した人々であるため、建築様式には徽派建築の特徴が色濃く表れています。さらに、城内には龍標書院、状元橋、平水石橋、書坊橋など数多くの歴史的建造物が残されており、貴重な文化遺産として注目されています。
加えて、この地には伝統的な演劇と龍舞が融合し、長い歳月をかけて発展してきた「花臉龍」と呼ばれる民間芸術が伝わっています。勇壮かつ華麗なその様式は、隆里古城を代表する独自の文化表現として、今日も多くの人々を魅了しています。
補筆・再構成:大橋 直人