国家級重要文化財に指定されている郎徳上寨は、凱里市から約27km、苗嶺山脈の主峰・雷公山の麓、丹江河のほとりに位置しています。1855年、苗族は清朝に対して反乱を起こしましたが失敗に終わり、多くが山間部の根拠地に身を潜めました。郎徳上寨は当時、苗族の将領であった楊大六の拠点であったため、清軍による遠征が繰り返され、最終的に18年を経て鎮圧されました。
現在、村には500人余りの住民が暮らしており、その多くが陳姓と呉姓を名乗っています。また、村内には楊大六を記念する「楊大六文物博物館」が設けられ、歴史を後世に伝えています。
郎徳上寨は1985年に対外開放され、1997年には中国文化部から「中国民間芸術の郷」と認定、2001年には国家級重要文化財に指定されました。ここでは、苗族固有の歌舞、精緻な銀細工、さらには伝統的な高床式吊脚楼などを目にすることができます。
訪れる人々は、村民たちから民族固有の伝統儀礼による温かい歓迎を受けることができ、民族文化の豊かさと生活様式を直に体験する貴重な機会となるでしょう。
補筆・再構成:大橋 直人