鎮遠青龍洞は、中国歴史文化名城・鎮遠県城の東方に位置する、断崖絶壁に築かれた建築群です。1388年に建造され、その総面積は約2.1万㎡に及びます。漢族建築文化と西南少数民族の山地建築文化が融合した独特の様式が見られます。青龍洞、紫陽書院、中元禅院、万寿宮、祝聖橋、香炉岩の6つの建築物から成り、多くが崖の上に立地しており、「西南の懸空寺」と称され、甘粛の麦積山・山西の懸空寺と並び「中国古代三大懸空寺」の一つとされています。仏教・儒教・道教が調和した三教融合の建築群は、革新的かつ芸術的価値が高く評価され、1988年に国家級重点文物保護単位(中国の重要文化財)に指定されました。
また、祝聖橋は1605年に舞陽河に架けられた石橋で、長さ135メートル、幅8.5メートル、高さ約14メートルを誇ります。七連のアーチ構造をもつこの橋は、周辺の建築と調和した景観美と高度な建設技術を今に伝えています。
補筆・再構成:大橋 直人