凱里市は貴州省東南部、清水江上流に位置する都市で、1983年に市制が施行されました。省都・貴陽からおよそ200km離れた地点にあり、面積は約1,306㎢、人口は約36万人を有します。黔東南苗族トン族自治州の州都として政治・経済・文化の中心的役割を担うとともに、貴州東部における主要都市のひとつでもあります。
観光資源としては、舞陽河に代表される自然景観や、鎮遠古城・青龍洞といった歴史文化遺産が広く知られています。さらに、ミャオ(苗)族やトン(侗)族をはじめとする少数民族の伝統的な衣装、音楽、舞踊、祭礼なども重要な観光資源となっており、都市と農村、漢族と少数民族文化が交錯する独自の地域性を形成しています。
学術的観点からみると、凱里市は少数民族文化の保存・継承における中心拠点であり、民族学・文化人類学・観光学の研究対象としても注目されています。とりわけ同市に所在する「黔東南州民族博物館」は、地域の歴史と文化を理解するうえで不可欠な施設となっています。
補筆・再構成:大橋 直人