茘波は貴州高原南部に位置し、茘波樟江国家級風景名勝区および茂蘭カルスト森林国家級自然保護区を含む地域である。1996年には国連教育科学文化機関(UNESCO)の「人間と生物圏(MAB)」計画に基づき国際生物圏保護区に指定され、2007年には世界自然遺産として登録された。
茘波のカルスト森林は約21,285ヘクタールの広がりを有し、同緯度地域では世界的にも類例のないカルスト森林生態系を保持している。また、多様な希少・絶滅危惧種の生息地であり、いわば「遺伝資源のバンク」として重要な価値を有する。この豊かな生態系は「エメラルドベルト」と称され、「中国十大森林」の一つに数えられている。
観光面では、小七孔景区が特に人気を集めるが、大七孔景区におけるダイナミックなカルスト地形もまた広く知られている。いずれも貴州高原南部の傾斜地に展開し、独特の自然美を形づくっている。
さらに茘波は、布依族・ヤオ族・水族・ミャオ族など多様な少数民族が集中して居住する地域としても知られ、自然景観と民族文化が共存する稀有な地域である。
補筆・再構成:大橋 直人