安順市

普定穿洞

2018-06-04

普定穿洞遺跡は旧石器時代末期に属する遺跡で、貴州省安順市の北方約26キロメートルに位置する普定県からさらに南西へ約5キロメートル進んだ山麓に所在する。


「穿洞」は石灰岩の浸食作用によって形成された鍾乳洞であり、標高は約1286メートルに達する。洞穴の規模は長さ約30メートル、幅約13メートル、高さ約9メートルで、天井部は自然に形成されたアーチ状を呈している。


この遺跡は1969年5月に初めて発掘調査が行われ、大量の石器や打製骨器が出土した。その後、1981年5月には中国科学院と貴州省博物館の共同調査により、石器・骨器に加え、多数の動物化石および人類化石を含む約2000点以上の遺物が発見された。さらに、火の使用痕跡も確認されており、先史時代における人類の生活様式や文化的営為を理解するうえで重要な資料を提供している。


これらの成果から、普定穿洞遺跡は「アジア文明の灯」と称されるに至った。また、1990年には中国国家級重点文物保護単位(重要文化財)に指定され、中国旧石器時代研究の基幹的遺跡の一つとして位置づけられている。



補筆・再構成:大橋 直人