貴州関嶺化石群国家地質公園は、貴州省西南部の関嶺プイ族ミャオ族自治県に位置し、貴陽から約188km、黄果樹瀑布から約52kmの距離にあります。公園全体の面積は約26㎢に及び、その中心的景観区は0.94㎢を占めています。園内には雄大で壮観な花江大峡谷が広がり、地形学的・景観的にも高い価値を有しています。
化石の分布は約200㎢にわたり、主に約2億2千万年前(三畳紀)の海湾や陸地の堆積環境で形成された黒色泥岩および頁岩中に埋蔵されています。これまでにイクチオサウルス(魚竜)をはじめ、ヨウジウオ類、長鰭型の海生爬虫類、ウミユリ、アンモナイト、二枚貝、コノドント、オウムガイなど、多様な古生物化石が発見されてきました。特に三畳紀の海生爬虫類やウミユリの化石は種類・数量ともに豊富で、しかも世界の同時期地層からは例を見ないほど良好な保存状態を示すことから、「世界唯一の三畳紀爬虫類とウミユリの化石宝庫」と称されています。
これらの化石は鑑賞・収蔵の価値を有するのみならず、三畳紀における地層学的環境の復元や、海生爬虫類およびウミユリ類の分類・進化過程の解明に資する学術的資料として、国際的にも重要な位置を占めています。
補筆・再構成:大橋 直人