赤水市は、中国貴州省の西北部、四川省との省境に位置し、赤水河の下流域に広がる都市である。市域面積は約1,797平方キロメートル、人口はおよそ26万人を擁する。1990年に県級市として正式に設置された比較的新しい都市であるが、その地理的環境と歴史的背景により特筆すべき特徴を有している。
赤水河は長江上流の重要な支流のひとつであり、この流域は紅軍の「四度赤水渡河」に象徴されるように、中国近現代史において重要な舞台となった。また、赤水市周辺は丹霞地形の典型的な景観が見られる地域としても知られ、独特の赤色砂岩による断崖や峡谷、滝などの自然景観は、2010年に「中国丹霞」としてユネスコ世界自然遺産に登録された範囲の一部を構成している。
さらに、赤水は竹資源が豊富で、「中国竹都」とも称される。竹産業は当地の経済を支える基盤のひとつであり、竹材加工や関連製品は国内外に広く流通している。
このように、赤水市は歴史・文化・自然環境の三位一体によって特色づけられる都市であり、その発展は今後も観光資源の保護と地域産業の振興に大きく依拠するものと考えられる。
補筆・再構成:大橋 直人