紅楓湖風景区は、貴州省貴陽市の西方約24kmに位置する人工湖である。湖面積は約57.2㎢に及び、その水域には大小192の島や半島が点在しており、遊覧船による周遊観光が可能である。
この湖は、1958年に建設されたダムおよび水力発電所に伴い形成されたもので、近代化政策の一環としての水資源開発の成果でもある。湖周辺には多くの楓が自生しており、秋にはその葉が鮮やかな紅色に染まり、青碧色の湖面に映える。その景観美から「紅楓湖」と名づけられた。
また、風景区内にはミャオ族・トン族・プイ族など少数民族の村落が点在する。ミャオ族の吊脚楼(高床式住居)、トン族の鼓楼や風雨橋、プイ族の石頭房(石造住宅)など、各民族に固有の建築様式を間近に見ることができる。これらは単なる観光資源にとどまらず、地域の民族文化や建築技術の多様性を理解する上で重要な価値を持っている。
補筆・再構成:大橋 直人