民族文化

苗族の支系と代表村

2021-02-18

翻訳:陳 応梅

修正:宮澤 詩帆

指導:王 暁梅、楊 梅竹

監修:姚 武強


中国の西南地区の貴州省を中心として、苗族と呼ばれる少数民族が住んでいます。苗族は人口が約950万あり、漢民族とは言語も習慣も異なり、かつては湖南・湖北・江西にまたがる地方に住んでいたと言われ、後に漢民族に圧迫されて、西南方の貴州や雲南、さらにはタイやラオスにまでも移動したとされます。かれらの言うところによれば、昔は揚子江の中流域で水稲耕作を営んでいたといい、民族の故郷は東にあると信じています。


方言別によって大きく三種類に分かれています。湘西方言ミャオ族、黔东方言ミャオ族、川黔滇方言ミャオ族。そしてさらに、女性の服装の色や文様、髪形や装飾品に基づいて、黒苗、白苗、青苗、紅苗、花苗と五種に分けたり、更に細かく長角苗、歪梳苗、長裙苗、短裙苗、雅雀苗、尖尖苗などと識別し、居住地に分けると東苗、西苗、平伐苗、清江苗、八番苗、地形により高坡苗、平壩苗、漢化の度合いで生苗、熟苗、地名で九股苗、職業で打鉄苗など多様な名称がつけられています。


湘西方言(東部方言)ではミャオ族のことをコー・ションと言います。昔は赤苗と呼ばれていました。女性は赤いプリーツスカートを、男性は腰に赤いリボンを身に着けていたからです。湘西方言の内部は東部土語と西部土語に分けられます。東部土語ミャオ族は湘西州古丈、瀘渓の両県及び吉首市の東部に住んでおり、彼らの服装の特徴はクロススッテチ、幾何学模様を主とし、服、頭巾にも花柄があり、銀飾りは控えめます。西部土語の分布は比較的に広く、湘西州花垣県、鳳凰県、懐化麻陽、新晃、貴州松桃県、及び湖北宣恩県が主要な分布地区です。西部土語ミャオ族の服装のは、濃い青色や黒を主とし、花鳥を主とした刺繍が施されており、銀飾りが多いです。特に鳳凰、松桃の苗族の銀飾りはこの後に説明する黔東南苗族に負けないくらい豪華です。


黔東方言(中部方言)ミャオ族は、昔は九股苗、黒苗と呼ばれ、貴州黔東南、黔南、黔西南三州及び広西融水県、湖南懐化靖州などに分布していました。黔東ミャオ族の言語は方言や訛りが少なく、話し方もゆっくりなので、お互いの交流が容易でした。黔東ミャオ族は複雑に分かれており、服装の種類も200種近くあり、銀飾りも沢山使います。現在各メディア、観光客向けに紹介されるミャオ族の銀飾りと服装様式の多くは、この黔東ミャオ族から来ています。


川黔滇方言(西部方言)ミャオ族は数が最も多く、言語によって何種類のグループに分けることができます。その中に、一つ目は川黔滇次方言グループであり、これは西部方言苗族の主力であり、昔から呼ばれていた黒苗、白苗、青苗、花苗、小花苗、歪梳苗などはすべてこのグループに属します。貴州西部、四川南部、雲南全域、広西西部及び東南アジアのラオス、ベトナム、タイなどに広く分布し、その後また戦争のためアメリカ、フランス、オーストラリアなどにも移転しました。この方言グループの言葉は、それぞれとても似通っているので、住む場所が違ってもコミュニケーションが簡単にとれます。二つ目は滇東北次方言集団であり、昔は大花苗と呼ばれ、主に烏蒙山地区に分布し、貴州畢節、雲南東部昆明一帯に分布しています。


ミャオ族は自称、言語、服飾、地域によって約60個の支系に分けることができます。


湘西黔东支系:この支系は自称「コー・ション」で、昔は紅苗と呼ばれていました。言語は湘西方言であり、内は東部と西部の2つの土語に分けられています。東部の土語は主に湘西陵、古丈の一部の郷鎮に分布し、西部の土語は湘西鳳凰、吉首、貴州松桃、玉屏などの県に分布しています。


施洞支系:この支系は自称「モン」で、貴州台江の施洞、宝貴及び隣接する施秉県の馬号、六合、黄平県の山凱などの郷鎮に分布しています。言語は中部方言北部土語の施洞話です。


台拱支系:この支系は自称「モン」で、清史には九股苗と記されています。台江の台拱鎮を中心に分布しており、県境内の台濃、南省及び革一、革東などの郷鎮の一部の村寨に及んでいます。言語は中部方言北部土語台拱話です。


巴拉河支系:この支系は自称「ガノウ」で、清史には「九股苗」「黒苗」と記載されています。分布は巴拉河両岸を中心とし、雷山県全域に及び、台江県の排羊、交下などの郷鎮の一部の村寨、凱里市の掛丁、地午などの郷鎮の一部の村寨及び剣河県の太擁郷の一部の村寨です。言語は中部方言北部土語です。


黄平支系:この支系は自称「モン」です。貴州省の黄平県内の各郷鎮及びそれに隣接する凱里市の傍海、湾水、施秉県の白洗、鳳山及び麻江県の下司などの郷鎮の一部の村寨に分布しています。言語は中部方言北部土語黄平話です。


大塘支系:この支系は自称「ガノウ」で、「短裙苗」の一つです。貴州雷山県の大塘、配寨などの郷鎮に分布しています。言語は中部方言北部土語です。


太拥支系:この支系は自称(木)「キ」で、「短裙苗」の一つです。剣河県の太拥、南哨、台江県の交下、雷山県の方様郷の一部の村寨に分布しています。言語は中部方言北部土語です。


丹寨支系:この支系は自称「ガノウ」で、「八寨苗」と呼び。丹寨県の竜泉鎮、桃花、羊列などの郷鎮の一部の村寨に分布しています。言語は中部方言北部土語です。


打渔支系:この支系は自称(木)「キ」で、「高坡苗」「白领苗」と呼びます。貴州三都県の打漁、都江、丹寨県の雅灰、排路、湛江県の興華、定威などの郷鎮に分布しています。言語は中部方言南部土語です。


榕江支系:この支系は自称「モン」で、清代の古州苗、車江苗の一部です。榕江県の古州、八吉、从江県の停洞、加哨、黎平県の銀潮などの郷鎮の一部の村寨に分布しています。言語は中部方言南部土語です。


岜沙支系:この支系は自称(木)「キ」で、从江県の岜沙、同楽及び隣接する郷鎮の一部の村寨に分布しています。言語は中部方言南部土語です。


丹都支系:この支系は自称「がノウ」で、他称では「白领苗」ともいいます。この支系は丹寨県の復興、金中、三都県の普安、介頼及び都均市の王司などの郷鎮に分布しています。言語は中部方言南部土語です。


羅泊河支系:この支系は自称(朦)「モン」です。清史には西苗、花苗などの呼称があります。貴州福市県の幹坝、王卡、貴定県の定東、定南、麻江県の楽坪、景陽などの郷鎮及び龍里県巴江と開陽県などに分布しています。言語は川黔滇方言羅泊河次方言です。


中排支系:この支系は自称「モン」で、他称では「白裙苗」。貴州龍里県の中列、民主、貴定県の石板などの郷鎮の一部の村寨に分布しています。言語は川黔滇方言貴陽次方言北部土語です。


高坡支系:この支系は自称(某)「ムー」です。他称では「高坡苗」ともいいます。貴陽市の高坂、恵水県の半坂、甲烈、龍里県の摆省などの郷鎮の一部の村寨に分布しています。言語は川黔滇方言恵水次方言北部土語です。


摆金支系:この支系は自称(毛)「モウ」で、他称では「打鉄苗」。恵水県の甲浪、鸭绒などの郷鎮の一部の村寨に分布しています。言葉は川黔滇方言恵水次方言東部土語です。


花溪支系:この支系は自称(谋)「ムー」です。他称では「花苗」ともいいます。貴陽市の花渓、孟関、清鎮県の中八、麦格、平坝県の林卡などの郷鎮に分布しています。言語は川黔滇方言貴陽次方言北部土語です。


乌当支系:この支系は自称「モン」です。他称では「花苗」ともいいます。貴陽市の烏当、下坝、龍里県の洗馬、谷竜及び開陽県とそれに隣接する郷鎮の一部の村寨に分布しています。言語は川黔滇貴陽次方言北部土語です。


长顺支系:この支系は自称「モン」です。他称では「尖尖苗」とも言います。長順県の東部、東北部の各郷鎮及び隣接する恵水県の長田、赤土、平坝県の大坝、林卡、貴陽市の燕楼と清鎮県の隣接する郷鎮に分布しています。言語は川黔滇貴陽次方言西南土語です。


安普支系:この支系は自称(蒙拉)「モンラ」で、他称では「花苗」ともいいます。安順市の郊外、東南部、北部、西部及び普定の東北部、鎮寧城関及び東部の各郷鎮村寨に分布し、言語は川黔滇方言川黔滇次方言の第一土語です。


麻山支系:この支系は自称(蒙娄)「モンロ」で、他称では「白苗」といいます。貴州望谟県の麻山、桑郎、安龍県の洒雨、羅甸県の逢亭、納平羅蘇などの郷鎮の一部の村寨に分布しています。言語は川黔滇方言麻山次方言南部土語です。


岔河支系:この支系は自称(蒙娄)「モンロ」で、「白苗」の一つです。畢節市の東南部、大方県の各郷鎮、黔西県の一部の郷鎮、貴陽市の烏当、孟関、平坝県の下坝、林卡、清鎮市の中八、鎮寧県の空洞河などに分布しています。言語は川黔滇方言川黔滇次方言第一土語です。


西林支系:この支系は自称(蒙娄)「モンロ」で、「白苗」の一つです。。広西西林県の各郷鎮、隆林県の徳俄、蛇場、雲南広南県の董堡、洛里、富寧県の田逢、董幹、邱北県の八道哨、平寨に分布しています。