翻訳:朱 明賢
修正:宮澤 詩帆
指導:王 暁梅、楊 梅竹
監修:姚 武強
補筆・再構成:大橋 直人
長角ミャオ族の手工芸は、民間の銀細工技術、染色技術、刺繍技術など、多岐にわたります。ここでは、代表的な銀細工の製作技術について紹介します。
銀細工の製造技術
長角ミャオ族の銀細工は、現在でもすべて手作業で作られています。製作は「鋳造 → 打ち延ばし → 編み加工 → 研磨・洗浄」という一連の工程から成り、非常に手間と技術を要します。
まず鋳造では、「銀の巣(るつぼ)」に銀を入れ、炉に載せて炭で覆い、風箱で送風して温度を上げます。銀が完全に溶けて液状になったら、細長い溝型に流し込みます。およそ30分後、銀が固まったら取り出し、熱いうちに打ち延ばします。この工程で四角い長棒に加工すれば切れ板になり、丸棒にすれば銀線の素材になります。銀線は専用の板を使って引き延ばし、必要な太さに整えます。
長角ミャオ族の銀細工は、四角棒、丸棒、平板、銀糸の組み合わせで作られることが多いです。四角棒や丸棒の加工は比較的容易で、主に打ち延ばしによって形作られます。一方、平板の制作には高度な技術と時間が必要です。まず銀棒を大きな薄板に打ち延ばし、それを用途に応じて小片に切り分け、型に合わせて輪郭を押し出します。その後、松脂を塗った板に貼り付け、精緻な彫刻を施すか、大きな塊は別の型で型押しします。
銀糸作りはさらに複雑で、太さによって二種類に分けられます。太い銀糸は単独で完成させることができ、細い銀糸は装飾品の重要な部品として用いられます。職人たちは熟練の「引き糸」技術を持ち、特製の銅板(さまざまな太さや形の穴が空いている)を使って、ミリ単位の直径まで正確に引き出すことができます。
使用する道具は、風箱、金槌、引き糸板、鑿(のみ)、るつぼ、銅鍋、模様型、松脂板などで、これらもすべて手作りです。
紡織技術
長角ミャオ族の女性が編組帯(花帯・錦帯)を作る際には、錦機、編組機、鉄輪、小樽などの道具を用います。
紡糸には、一般的に手回し式の単錠紡糸車が使われます。この紡糸車は、インゴット(紡錘)、縄輪、取っ手などの主要部品から構成されます。
インゴットは鉄棒で作られ、太い端には竹の根や木製の輪(長さ2~3cm)が取り付けられます。それを両柱やロープカバーに通し、反対側の端を木の柱や板から外に出します。プーリーから伝わる糸の弦を、両柱の間にあるインゴットの輪に掛けることで、インゴットは自由に回転します。このインゴットには竹管や葦管を被せ、糸を巻き取りながら撚りを加えていきます。
縄輪は竹や木で骨組みを作り、紐で輪状に結びます。中央部には木製の軸を通し、端に取っ手を取り付けます。縄輪全体は四角い木枠に固定され、取っ手を回すとプーリーが動き、錠が回転して糸を紡ぐ仕組みです。この紡糸車は、紡ぎながら糸に撚りを加えることができます。
糸繰り、麻や綿の紡績、綿繰り、綿打ちといった前工程を経て、長角ミャオ族の紡織は一連の流れを形成します。なかでも、糸を煮る・磨く・引く・切るといった工程は特に重要で、布の品質や模様に直結します。そのため女性たちはこれらの工程を非常に重視しています。
糸を浸す作業はやや手間のかかる工程です。まず、粘り気のある米の重湯に初めての糸を浸します。その後、布地の種類に応じて豆乳や卵白を使い、何度も浸します。糸の白さが不十分な場合は、カボチャの葉や藤の根を潰して煮出した汁に繰り返し浸し、さらに漂白します。
染色とろうけつ染めの技術
長角ミャオ族の染色は、伝統的に植物由来の染料が主に用いられますが、鉱物染料や動物性の脂質なども併用されます。色ごとに異なる顔料や原料があり、たとえば青色にはアイタデ(藍)が使われ、現地では「巣九」と呼ばれています。黒色を得る場合は、野生の柳や野生のツツジの葉、栗の殻、サワラの実などが用いられます。柳やツツジは葉を採取し、栗の殻やサワラは実を粉末にして水で煮出し、濃い染液を作ります。これを濾して滓を取り除き、布や糸を染液に浸し、媒染の工程を経て深い漆黒に染め上げます。
染色技法には、浸染、捺染、ろうけつ染めなどがあり、媒染を組み合わせて多彩な色を生み出します。浸染は最も広く用いられる基本的な方法で、布や糸を染める際にも、浸染やろうけつ染めを経て模様が表現されます。長角ミャオ族の女性たちは、長年の経験を通じて独自の浸染工程を確立してきました。
まず染液を作ります。布や糸の量に応じて調合を変えます。布の染色は一般に秋に行われ、この時期はアイタデやインディゴ草の品質が最も良く、媒染に用いる杉の枝も旧暦8月に焼いたものが最適とされています。
ろうけつ染めは、浸染と並んで広く行われる技法です。作業は布地の選定から始まり、蒟蒻糊を均一に塗って乾かし、平滑な牛骨や卵石で磨き上げます。次に、小型の鉄鍋や銅鍋、または耐火性の溶解器に黄蝋(ミツロウ)、白蝋(虫から採れる蝋)、またはマシン脂を入れ、炭火で溶かします。さらに適量の牛脂を加えて調整し、この溶かした蝋で布の上に図案を描きます。白布の上で蝋刀を自由に走らせることで、千年にわたり受け継がれてきた模様が浮かび上がります。
刺繍技術
「背児帯(おんぶ帯)」は、ミャオ族の刺繍が最も多く施される品であり、長角ミャオ族の女性が持つ高度な刺繍技術を最もよく示すものです。中でもクロスステッチは、長角ミャオ族の刺繍で最も広く用いられる技法です。
クロスステッチの特徴は、布地の経糸と緯糸に沿って針を通し、糸を交差させて模様を構成する点にあります。長角ミャオ族の女性たちは、刺繍をする際に下絵を描いたり図案を布に貼り付けたりすることはありません。布幅をもとに大まかな模様を頭の中で構成し、経糸と緯糸の交点を数えながら針を進めます。
基本的な技法は2種類あり、いずれも縦横の2本の糸を交差させて十字を作る構図を基礎としています。この十字形こそが図案の最小単位であり、衣服全体の刺繍も、最終的には数万から数千万もの小さな十字の集合で成り立っています。
長角ミャオ族では、このクロスステッチが最も多用されており、男女の衣服や「背児帯」の主要な装飾も、ほとんどがこの技法で仕上げられます。