民族文化

長角ミャオ族の姓名

2021-02-18

翻訳:朱 明賢

修正:宮澤 詩帆

指導:王 暁梅、楊 梅竹

監修:姚 武強

補筆・再構成:大橋 直人



長角ミャオ族の人々は、公式な場で用いる姓名として漢名を持ちますが、日常生活ではこれとは別に「小名」と「老名」という二種類の呼称を使い分けます。


「小名」は、結婚前に用いられる個人名であり、結婚後は夫婦が同じ呼称を共有します。これは、婚姻によって家族単位の一体感を示す文化的慣習の一つです。


一方の「老名」は、結婚後、最初の子どもが生まれた際に新たに授けられる名前で、以降は終生使用されます。老名は、子孫による祖先祭祀の際にも用いられるため、家系や世代間のつながりを示す重要な役割を担っています。


当地の長角ミャオ族では、老名の一部、通常は一文字を日常の呼称として用います。例えば、正式な漢名が「楊朝忠」であっても、老名が「陽」であれば、子どもたちはこれに接頭辞を付け「補陽」と呼び、同世代や目上の者は「依陽」と呼びます。このように、接頭辞の使い分けによって呼称から人間関係や敬意の度合いを表すことができます。


また、長角ミャオ族の漢姓は限られており、主に「楊」「熊」「王」の三姓が多く見られます。これは歴史的に外部との接触や漢族との通婚の過程で定着したものであり、姓の分布や頻度は彼らの社会構造や移住史を考察する手がかりにもなります。