貴州土産

茅台酒(マオタイ酒)

2020-05-11

翻訳:朱 明賢

修正:須崎 孝子

監修:姚 武強

補筆・再構成:大橋 直人


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茅台酒(マオタイ酒)は、貴州省遵義市仁懐市茅台鎮を産地とする名酒であり、中国の地理的表示(GI)製品に認定されている。スコッチ・ウイスキー、コニャックと並び「世界三大蒸留酒」の一つに数えられると同時に、中国三大銘酒(茅台酒・五粮液・剣南春)の筆頭に位置づけられる。中国における醤香型白酒の代表格であり、800年以上の歴史を有するとされる。1915年のパナマ万国博覧会で金賞を受賞して以来、たびたび国際的な栄誉に輝き、「国酒」「世界銘酒」と称されてきた。



茅台酒の起源は古く、秦漢期にその醸造が始まり、唐宋期に成熟、明清期に精緻化され、現代に至って最高峰に達したと伝えられる。『史記』によれば、建元6年(前135年)、漢の武帝が派遣した使者唐蒙が南越を訪れ、仁懐県茅台鎮一帯で醸造されていた醤香型の酒を持ち帰り、武帝に献上した。武帝はその味を「甘美」と称賛し、これが茅台酒の名が歴史に登場した最初の記録である。その後、茅台酒は朝廷への献上品として知られるようになり、唐宋期以降は歴代王朝の御用酒となった。また、シルクロードを通じて海外にも伝わり、国際的な名声を獲得した。



清代に入ると茅台鎮の酒造業は一層繁栄し、「茅台春」「茅台焼春」「同沙茅台」などが広く名を馳せた。康熙43年(1704年)には「偈盛焼房」がその酒を正式に「茅台酒」と命名し、道光23年(1843年)には詩人鄭珍が「酒冠黔人国」と詠んで称賛した。19世紀には「王茅」「華茅」「頼茅」という三大銘柄が確立し、茅台酒の基盤を形成した。とりわけ頼氏の「頼茅」が良好な発展を遂げ、今日の茅台酒の直接的な源流とされる。頼茅酒は清代道光年間に兵営統制職を務めた頼正衡によって創始され、1826年に除隊後、故郷の茅台村に酒造場「茅台焼春」を設立したのが始まりとされる。1902年には孫の頼嘉栄が伝統的な醸造法を革新し、「回沙」と呼ばれる複雑な醸造技術を確立、より完成度の高い「醤香大曲酒」を生み出した。



しかし1949年以前、茅台酒の生産は衰退し、茅台鎮には「成義酒房(華茅)」「栄和酒房(王茅)」「恒興酒房(頼茅)」の三軒が残るのみであった。1951年、新政府はこれらを統合し、「三茅合一政策」に基づいて国営茅台酒工場を設立、醤香型白酒の生産体制を確立した。この統合が今日の茅台酒の礎を築いたのである。



その後、茅台酒の伝統技術は国家的に保護されるに至った。1996年には醸造技術が国家機密として指定され、2001年には国家級無形文化財に登録、2006年には国務院により第一陣国家級無形文化財リストに収録され、世界無形文化遺産への申請が承認された。2003年には国家品質監督検査総局により原産地名称保護製品に認定されている。


近年では、2019年6月に「国酒茅台」の商標を廃止し「貴州茅台」へ改称。同年12月の「胡潤ブランドランキング」では、ブランド価値6400億元で中国第1位を獲得した。こうして茅台酒は、伝統に根差しつつも現代的価値を拡大し続ける、中国を代表する民族文化遺産である。


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茅台酒とパナマ万国博覧会


茅台酒(マオタイ酒)が国際的な名声を確立する契機となったのは、1915年のパナマ万国博覧会金賞受賞であった。しかし、その具体的な経緯はあまり知られていない。


1881年に開始されたパナマ運河工事は、1903年の米国によるパナマ支配を経て、1912年にアメリカ議会が竣工記念の国際博覧会開催を決定した。翌年、中国政府はタフト大統領から正式な招待を受け、商工省・農林省・教育省・財政省が中心となり、各地の「出品協会」を組織して出品準備を進めた。その一環として、貴州省からは「成義」「栄和」の酒が「茅台酒」の名で出展されることとなった。


1915年2月20日、博覧会はサンフランシスコで開幕し、世界20万点以上の製品が展示された。当初、土器に詰められた茅台酒にはほとんど関心が寄せられなかったが、閉幕が迫る頃、中国代表団の一人が機転を利かせ、容器を意図的に壊すことで酒香を漂わせた。芳醇な香りに惹きつけられた審査員たちは試飲を重ね、その品質を高く評価し、茅台酒に金賞を授与したのである。これは当時、列強の圧迫に苦しんでいた中国において、国民の士気を鼓舞する出来事となった。


受賞後、「成義」と「栄和」は金賞の所有権をめぐり争い、仁懐県商会から貴州省当局にまで持ち込まれたが、1918年、省政府が妥協的裁定を下し、賞状とメダルは仁懐県商会が保管することとなった。以後、両社はいずれも自社製品に「パナマ万国博覧会金賞」の称号を冠し、茅台酒の名声は一層広がった。さらに、この受賞を契機に官僚や資本家の投資対象ともなり、茅台鎮では新たに第三の酒造所「恒昌(後の恒興)」が創業した。こうして競争が激化する中で、茅台酒は貴州の地方酒から国際市場へと進出する酒へと成長していった。




国際的評価と受賞歴


茅台酒はパナマ博覧会以降も、国内外で数々の賞を受けている。1985年にはフランス・パリ国際美食および観光委員会から「金桂葉賞」を授与され、1986年には第12回パリ国際食品博覧会で金メダルを獲得した。1992年には東京の第4回国際銘酒博覧会、米国の第1回国際銘酒大会、香港国際食品博覧会においてそれぞれ最高賞を受賞。同年のフランス・ボルドー国際酒類展覧会では、53度・43度・38度の茅台酒が特別栄誉賞を得た。さらに1994年には第5回アジア太平洋国際貿易博覧会でも金賞を受賞している。


このように、茅台酒は近代以降、国内にとどまらず国際舞台でも高い評価を受け続けており、その地位は単なる地方銘酒を超えて「世界銘酒」として確立されている。


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茅台酒の感官特性と熟成技術


茅台酒は無色透明で、華やかさと奥行きを併せ持つ香気、優雅かつ繊細な風味を特徴とする。口当たりはまろやかで、飲み干した後も杯に香りが残り続ける点に特異性がある。この独自の香気は「茅香」と称され、中国における醤香型白酒の典型とされる。


茅台酒の香りは、「醤香」「窖底香」「醇甜」という三種の風味要素が融合して生じるものであり、その芳香成分はきわめて複雑である。現在までに確認されている揮発性成分は300種類以上に及ぶ。興味深いのは、その香気形成の過程において人工的な香料が一切用いられていない点である。繰り返し発酵という独自の醸造工程を経ることによってのみ、これらの成分が自然に生成されるのである。


酒精度数は52度から54度の範囲に安定しており、長期的に見れば中国白酒の中で比較的低い部類に属する。このため、飲用後に喉の刺激や眩暈を感じにくいとされ、さらに疲労回復や精神安定といった効能が伝統的に語られてきた。




貯蔵環境と熟成管理


茅台酒の熟成には、穴蔵(酒蔵)の設計と管理が重要な役割を果たす。その建設は極めて精緻であり、立地条件、方位、空間の高さ、内部の温度・湿度調整、通気性の確保に至るまで厳密な規範に基づいて行われる。また、使用される酒甕の形状・容量、さらには甕口を封じる泥の処理技術も精巧であり、いずれも酒の二次醸造を促進し、香気の純度を高める要因となっている。


酒蔵においては、日々の検査を通じて温度と湿度が厳格に管理される。このような微細な制御こそが、茅台酒の芳醇かつ安定した品質を支えているのである。


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茅台酒の醸造技術と熟成工程


茅台酒の醸造技術は「千古一絶(永遠に比類なき技)」と称される。その製法は他の酒類とは大きく異なり、極めて複雑かつ長期的な工程を特徴とする。生産にはおよそ7か月を要し、蒸留後の原酒は少なくとも4年以上の貯蔵を経る。その後、20年、10年、8年、5年、さらには30年、40年といった熟成年数の異なる古酒をブレンドし、最終的に検査と官能評価(試飲)を経て瓶詰めされ、市場に出荷される。


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原料と発酵技術


茅台酒は、当地特産の優良な高粱を主原料とし、小麦を用いて高温で製麹する。特徴的なのは、仕込みにおいて原料よりも多量の麹を使用する点である。この「多麹仕込み」と呼ばれる方法に加え、長期発酵、複数回の発酵と蒸留を繰り返す独自の技術こそが、茅台酒の特異な芳香と卓越した品質を支える根幹となっている。


具体的には、2回の原料投入、9回の蒸し煮、8回の製麹と投入(そのうち7回の発酵)、さらに7回の蒸留・検査を経るという複雑な工程が採用される。こうした一連の醸造工程だけでも一年以上を要し、その後さらに3年以上の熟成期間が課せられる。加えて、調和を目的としたブレンド後もなお1年間の再貯蔵が行われ、香味が円熟し、柔らかな風味を備えた状態で瓶詰めされる。全工程を通じて、製品化までには実に5年近い歳月を要する。




季節性とブレンドの妙


茅台酒の生産は、季節の循環と密接に連動している。たとえば、重陽節には高粱を投入し、端午節には製麹を行うなど、節気に即した工程管理が伝統的に受け継がれている。こうして一年を周期とする仕込みの中で、上述の2回の原料投入・9回の蒸し煮・8回の製麹・7回の発酵が繰り返される。


得られた原酒は、陶器の甕に三年以上貯蔵された後、異なる年代・香気・アルコール度数をもつ百種類以上の基酒が選別・調合される。このブレンド技法こそが、複層的かつ均整のとれた茅台酒特有の風味を形成する決定的要因である。


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茅台酒の醸造技術における特徴


茅台酒の醸造技術は、「三高」「三長」および「季節性生産」という三つの要素に要約される。これらは、他の中国白酒には見られない茅台酒固有の技術的特徴である。




「三高」――高温製麹・高温発酵・高温蒸留


第一に「三高」とは、①高温環境下での製麹、②高温環境下での堆積発酵、③高温環境下での蒸留を指す。茅台酒の麹は発酵過程において最高63℃に達し、これは一般的な白酒の発酵温度よりも10~15℃高い。この過程で、耐熱性を有する良質な微生物群が淘汰・定着し、独自の芳香成分を生成する微生物生態系が形成される。これにより「取利去害(有益菌を育成し有害菌を抑制する)」という効果が生じる。


さらに、高温下での堆積発酵は、中国白酒における開放型発酵技術の中でも最も代表的かつ独自性の高い手法である。また、蒸留工程においても、単なる固液分離にとどまらず、茅台酒特有の高温処理が施される点において、他の白酒生産技術とは大きく異なっている。




「三長」――長期生産・長期製麹貯蔵・長期熟成


第二に「三長」とは、①調合用基酒の生産期間が長いこと、②麹の貯蔵期間が長いこと、③基酒の熟成年代が長いことを指す。


茅台酒の生産工程は一年を通して行われ、二度の原料投入、九度の蒸煮、八度の製麹(七回の発酵を含む)、七度の蒸留検査を経て、四季を一巡する。これは、数か月あるいは十数日で完成する他の白酒と比べ、圧倒的に長期的なプロセスである。


また、茅台酒に用いられる麹は6か月間貯蔵した後に使用される。これは他の白酒に比べ3~4か月長く、基酒の品質向上に寄与している。加えて、麹の使用量は一般的な白酒の4~5倍に及ぶ。


さらに、茅台酒は通常3年以上の熟成が必須とされる。熟成により不快成分が除去され、まろやかで調和のとれた風味が形成される。また、茅台酒には高沸点成分が多く含まれており、これが酒質の重厚さと価値を高めている。こうした点も、同類の白酒には見られない顕著な特徴である。




季節性生産――自然環境との調和


第三に「季節性生産」とは、茅台酒の醸造が自然環境の季節変動と緊密に結びついていることを意味する。茅台酒の原料投入は旧暦9月の重陽節に合わせて行われる。これは、他の白酒が年間を通じて自由に仕込みを行えるのとは対照的である。


重陽期に仕込みを行う理由は三つある。第一に、この時期が高粱の収穫期であること。第二に、茅台鎮の気候特性に適合していること。第三に、高温多湿で微生物活動が過剰になりやすい時期を避け、発酵を人為的に制御しながら有用微生物群を優先的に育成し、自然界の微生物を選択的に活用するためである。


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茅台酒の原料特性


茅台酒の醸造には、主に高粱・小麦・水の三種が用いられる。


まず高粱については、貴州省仁懐市および金沙県・習水県の行政区域内で栽培される「紅纓子」と呼ばれる在来種が使用される。この品種はデンプン含有量が60%以上であり、そのうちアミロペクチンが全デンプンの88%以上を占め、国家規格に適合している。紅纓子高粱は、中国東北部など他地域の高粱とは異なり、粒が小さく殻が厚い一方で、充実した均質な穀粒を特徴とする。その断面はガラス様の質感を呈し、繰り返し発酵を行う茅台酒の醸造工程に極めて適している。さらに、殻が厚く2.0〜2.5%のタンニンを含有するため、発酵過程でカテキン酸、バニリン、シナミン酸など多様な芳香前駆物質が生成され、最終的に茅台酒特有の芳香化合物群やポリフェノール類が形成される。これらの有機成分の生成は、高粱そのものの特性と、地域特有の微生物叢との相互作用に強く依存している。


次に小麦は、製麹のための主要原料として用いられる。デンプン含有量は60%以上で、国家基準に合致しており、高温製麹における微生物群の増殖に適している。


最後に水については、赤水河上流域、すなわち赤水河と塩津川の合流点付近の水源が利用される。この水は国の飲用水基準を満たし、茅台酒醸造の安定性と品質を支える要素となっている。




原料の意義


紅纓子高粱の豊富なアミロペクチン含量と厚い外皮は、繰り返しの蒸煮・発酵に耐える上で有利であり、効率的な糖化・発酵を実現する。また、タンニンやポリフェノール類の存在は、香味形成だけでなく、健康機能性との関連性も指摘されている。実際、茅台酒は比較的多量のポリフェノール類を含有し、適量摂取において肝機能への負担が少ないとされる。このように、原料の特性と微生物群落との協働作用こそが、茅台酒の優雅で繊細かつ奥行きのある味わいを生み出す根幹である。


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茅台酒の生産環境と原産地特性


茅台酒の醸造に用いられる水は、主として赤水河上流の水である。赤水河の水質は清澄でわずかに甘味を帯び、不純物をほとんど含まない。この特性が、蒸留・発酵において極めて良質な酒を生み出す要因となっている。清代の詩人もまた「集霊泉于一身、彙秀水東下」と詠じ、赤水河の清らかさを称賛している。


茅台鎮は、貴州高原における最も低い盆地に位置し、標高は約440メートルである。高原の気流から隔絶されたこの地域は、一年を通じて濃霧に包まれ、特に夏季には35~39℃の高温が5か月間持続し、蒸し暑く湿潤な気候を呈する。この独特な気候条件に加え、赤水河の水質や酸性の紫紅土といった土壌特性が、原料の発酵・熟成に極めて有利に作用している。また、地域特有の微生物群落の形成とその動態にも決定的な影響を与え、茅台酒特有の香気成分の生成を支えている。


1960~70年代には、中国各地で茅台酒の技術や原料、さらには茅台鎮の酒蔵の泥まで持ち出し、現地以外での再現が試みられた。しかし、その結果は茅台鎮で生産された酒とは本質的に異なり、同一の品質を再現することは不可能であることが明らかとなった。この事実は、茅台酒がその産地と不可分の関係にあることを強く裏付けている。そのため、2001年には茅台酒が中国白酒として初めて国家原産地保護製品に指定された。


茅台酒が「地元でしか造れない」とされる理由は大きく三点に整理できる。第一に水質である。赤水河上流の水は硬度が低く、微量元素を豊富に含み、汚染がない。第二に気候条件であり、峡谷地帯の酸性土壌と高温多湿の特殊な気候が酒造に適している。第三に微生物環境である。茅台鎮は河谷に位置し風速が弱いため、発酵に寄与する微生物群が安定的に繁殖できる。この環境は数百年にわたる醸造の積み重ねによって独自の微生物生態系を形成し、酒蔵の空気には芳醇な香りが漂っている。




生産技術と醸造工程


茅台酒は、原料(小麦・高粱・水)の厳選に加え、極めて高度な生産技術を必要とする。醸造技術は伝統的かつ独特であり、その生産周期は一年間に及ぶ。端午の節句に麹を仕込み、重陽節に原料を投入することから始まり、9回の蒸煮、8回の製麹・投入、7回の発酵検査を経て酒が得られる。その後、異なる種類の酒を分別貯蔵し、さらに調合後も再度貯蔵を行い、最終的に出荷されるまでには約5年を要する。


また、その工程の特徴として、二度にわたる原料投入、固体状態での発酵、高温環境での製麹および堆積発酵などが挙げられる。これらの技術的要素の組み合わせが、他の白酒にはみられない独自の醸造様式を形成し、茅台酒特有の香味と品質を確立している。


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茅台酒の生産工程



茅台酒の生産過程は、大きく四つの工程と六つの段階(製麹、醸造、貯蔵、調和、検査、包装)に分けられる。




第一段階:製麹


砕いた小麦に酵母と水を加え、麹の「胚」を形成する。その後、藁で覆って約40日間発酵させ、分解処理を経たのち、さらに6か月間貯蔵する。この製麹工程を経て初めて酒造りに使用できる。




第二段階:醸造


本工程はさらに「原料投入」と「蒸留」に大別される。


1、原料投入:旧暦の重陽節を起点とし、2度にわたり高粱(地元で「沙」と呼ばれる)を投入する。1回目を「下沙」、2回目を「造沙」と称する。下沙では粉砕した高粱を水に浸し、蒸煮後に酵母を加えて発酵を促す。その後、乾燥、製麹、積み上げを経て発酵室に入れ、約30日後に開窖して造沙を行う。造沙では、再び粉砕・加水した高粱を加え、前工程の発酵物と混合する。


2、蒸留:茅台酒の蒸留工程は計7回に及び、各工程で「乾燥—製麹—積み上げ—入窖—蒸留」のプロセスを繰り返す。全体として1年間にわたり、9回の蒸煮、8回の製麹・投入、7回の酒質検査を経て1つの生産周期が完結する。




第三段階:貯蔵と調和


初期の蒸留酒は、香味の異なる三種のタイプ——「醤香」「窖底香」「醇甜」に分類される。これらはまず陶器に貯蔵され、その後、異なる醸造回次、基酒の性質、アルコール度数、熟成年数を組み合わせて調和される。調和後も再び陶器に戻し、少なくとも3年間の貯蔵熟成を経ることで、酒質はさらに円熟する。



第四段階:検査と包装


調和後の酒は厳格な品質検査を通過した後、不透明な容器に詰められ出荷される。





茅台酒の容器の変遷


茅台酒の容器は、時代とともに変化を遂げてきた。当初は地元産の瓶が用いられていたが、清代咸豊年間には「小底・小口・大腹」を特徴とする陶器瓶(0.5kg1kg1.5kg規格)が使用された。その後、一時期はやや扁平な長方形の瓶に変わり、民国4年(1915年)以降は円柱形で小型の胴体と長い口を持つ黄色陶器が採用された。建国後には、白色陶器製の容器や、光を遮断する乳白色のガラス瓶が登場し、今日に至るまで使用されている。これらの容器は装飾を抑えつつも独特の美しさを備えており、茅台酒の素朴で格調高い品格を映し出している。


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