改訂:大橋 直人
香猪(シャンジュー)は、中国・貴州省に古くから伝わる在来種の豚で、標高500~600メートルの山間地域で主に飼育されています。急峻な地形と限られた土地条件のため、一般的な大型種の養豚には適さず、小型で飼いやすい香猪が自然と定着しました。
この地域には、特別な来客をもてなす際に、子豚(時にはまだ授乳中のもの)の丸焼きを振る舞うという伝統的な風習があります。また、子豚を贈答品として贈る習慣も見られます。こうした文化的背景も、小型の香猪が現在まで受け継がれてきた理由のひとつです。
「香猪」という名前は、その名の通り、香り高く風味豊かな肉質に由来しています。脂身と赤身のバランスが良く、独特の甘みとコクのある味わいが特徴で、地元では高級食材として珍重されています。